2017年02月13日

第28回勉強会

1月23日月曜日に第28回勉強会が開催されました。

今回のテーマは「農福連携」でした。

みどりの里に入ってくれてる無門福祉会さんとストレートアライブ(とものわ)さんの

具体的な事例を紹介して

農家も福祉施設も障害者さんをどう活かしていけばいいかという

課題に少しでも役立てばと思いこのテーマを

作付けの始まる前の1月に持ってきました。

今回は各地の福祉施設からのご参加がいただけたので

80名も集まってくれました。

みどりの里との連携ということで

ここでの農産物は全て無肥料無農薬の自然栽培です。

1人目は



ストレートアライブ(とものわ) 今枝稚加良さんです。



A型と呼ばれる軽度な障害者さんと一緒に農作業を進めていて

みどりの里にも入ってくれています。

農業での活躍はもちろんのこと

障害者さんたちの状態も非常に良くなっていきます。

まず体力が付きます。

それによりできなかった仕事ができるようになり

仕事にも前向きに取り組めるようになっていきます。

自信がついてくると私生活でも変化が起き

1人で買い物に行けなかったのに

行けるようになったり、

コミュニケーションが苦手な人も

自信がついて明るくなるので克服していきます。

精神を安定させるために薬を飲む方も

薬の量が減っていき

ゼロにまでなる人もいます。

農業は疲れるので眠れないがなくなるのでしょう。

目に障害がある方も

それでもどうやったらできるのかを考え、

アイデアをどんどん出し

チーム全体の作業の質もスピードも上がっていきました。

目の状態も良くなってます。



作業面では最初は草取りから始まりました。

みどりの里でも試行錯誤の段階です。



年数を重ねるとできる仕事も増えていき



































というわかりやすい写真で紹介してくれました。

農家は彼らが成長することを信じて付き合えるかということと

福祉側はきちんと仕事を終わらせることを意識してやれるかで

互いの事情を考慮することになり

うまく付き合えていくと思います。

2人目は



無門福祉会 中本健太さんです。

無門福祉会さんはB型と呼ばれる重度な障害者さんと農業をやっています。

無門福祉会さんでは自分の圃場を持ってやる班があり

そことみどりの里は作業協力や助け合いの連携をとり

みどりの里へ来る班とは作業委託の連携でやってます。

これは必ずしも固定されているわけではありません。

作業によって班の動きは変わります。

助け合いの事例としては



みどりの里がコンバインで稲刈りをして

無門福祉会さんがトラックで運んだり補佐に入ったりして

互いの田んぼをこの連携でやりきります。



職員のスキルアップ、作業効率のアップ、コストは互いに削減できます。

課題としては今回はまだ障害者さんがあまり入れられなかったことです。

まだ職員が作業を覚える段階です。



皆でビニールハウスの天井張りをやりました。

これはみどりの里はかなり助かります。

人手が絶対必要なのに風などでできない日もあり、

臨機応変に無門さんたちが入ってくれたので予定より早く終われました。



障害者さんも参加できました。



中本さんの誕生日が非常に風が強くてつらい日だったのですが、

障害者さんも含めて皆が昼の時間になっても必死にビニールを引っ張って

なんとか張りきれたというドラマを作ってくれた日でもありました。

ビニール張りの代わりにみどりの里が機械を無門畑へ持っていき

耕起やうねたてをします。

課題は無門さんの畑全てに入りきれなかったことです。

これは天気が悪すぎて準備が遅れてしまったためです。

この経験で、さらに早く準備をしておかねばならないことを学べました。



サツマイモ収穫では雨の合間に皆の力で一気にいもを運び



素晴らしい結果を出せました。

次の日はもう雨だったので

サツマイモを腐らせずに収穫しきれて助かりました。

この作業の前にはストレートアライブさんのツル切り作業もありました。



田んぼのわら集め作業のパターンもあります。

障害者さんの作業が少なくなってきて

どうしようというところでの作業で

重度な方もやれる作業として重宝してます。

みどりの里としても広大な田んぼのわらを集めるのは大変なので

皆の手が非常に助かってます。

こうして、できない人が役割を担える人へと変わっていっています。

3人目は



無門福祉会 藤井史子さん

主にみどりの里班での障害者さんの活躍を話してくださいました。

















主に収穫出荷準備をやっていて

その合間に管理の仕事もやります。

この1年で障害者さんの能力は信じられないほど伸びました。

ようこさんの場合













勝間田さんの場合









山下さんの場合







桐沢さんの場合









職員の皆は作業もこなしながら、

障害者さんー一人一人を見てあげて

障害者さんが仕事をこなせるとすぐほめてあげています。

新しい仕事にも前向きに取り組んでくれるので

とにかく成長が早いです。

野菜も障害者さんもよく見てあげて、ほめて成長させてあげるといいんだな

藤井さんは思ったそうです。

4人目は



無門福祉会 磯部竜太さんです。

ここでは自然栽培パーティーについて話していただきました。

詳細はこちらのホームページを見ていただけるとよくわかると思います。

自然栽培パーティー代表の佐伯さんが全国を走り回って仲間作りに励み

現在全国約50施設の障害者福祉団体が参加して自然栽培を進めています。

昨年11月には環境大臣賞最優秀賞を受賞しています。

参加希望の方は事務局の無門福祉会さんまでお問い合わせください。

と自然栽培パーティーを紹介してくださいました。

今後それぞれの地域が活発に活動し始めると

この全国のネットワークは非常に大きな役割を果たしてくれるでしょうね。

そして5人目は



名城大学の農学部 礒井俊行先生です。



前回のみどりの里のプレゼンからテーマを作っていただけました。



この写真から欠乏症をひもといてくれました。


高橋英一 「根」物語 研成社 1994

この植物体の元素の割合を示した表をよく紹介してくださいます。

この養分のどれかが足りない場合


http://www.takii.co.jp/tsk/bugs/atm/seiri

こういう症状が出ます。

これはタキイ種苗さんがネットで紹介しているので検索してみてください。


https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/kyouzai/200701shikiso/200701shikiso1.html

緑色の葉には、何種類かの色素が含まれていて、光を吸収して光合成のためのエネルギーに変換する役割を持っています。

寒くなったり、古くなった葉は、寿命を終えて落葉しますが、その前に、必要がなくなったクロロフィルが分解されて緑色が抜けます。カロテンやキサントフィルが残るため、葉は黄色になります(黄葉)。種類によっては、落葉の前に、「アントシアン」と呼ばれる赤い色素が合成されて赤くなります(紅葉)。


米山ら 新植物栄養・肥料学 朝倉書店 2010

葉緑素です。
生成にFe、S、Mnが必要


角田公正ら 栽培環境入門 実教出版 1998

移動しやすい要素 [[ N P K Mg その他 ]]
 不足すると下葉(古葉)から伸長部に養分を転流 → 下葉から欠乏症が出る

移動しにくい要素 [[ S Ca Fe Mn B Cu Zn ]]
  不足すると、今伸長している所に欠乏症が出る。下葉から転流しないので、下葉の欠乏症は出にくい。

S, Znは体内移動する元素だが、その中でも比較的移動しにくい


実教出版 化学Ⅱ 新訂版 2012


図1 降雨前後の流量と窒素濃度の経時変化 (2001年8月)

梼原町の約180年生のモミ、ツガからなる天然林の流域(面積18.7ha)
ここでいう窒素とは硝酸態窒素(NO3-N)
http://www.ffpri-skk.affrc.go.jp/sj/sj30p4.htm

雨が降ると窒素がたくさん入ります。


http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~tsuyu/top/dct/nutr-j.html

Ca吸収はKの多用で抑制
Mg吸収はKの多用で抑制
K吸収はCa, Mgの多用で抑制

水田では水があるため、塩基類のバランスの影響は少ないが、
乾燥する畑では、養分吸収を適正にするためにも塩類バランスには注意すべき

肥料をまきすぎると

そのせいで他の養分の欠乏症が出てしまいます。

雨が降って窒素が多いことで葉緑素に必要な微量要素が足りなくなるイメージも

これらの資料からも導き出せそうです。

欠乏症の出る場所で

要素の特定もできます。

これはすでに研究してこういうルールがありますという紹介で

これらのルールを活かすことが大事です。

礒井先生が持ってきてくださる研究結果を

私たちは現場で活かして自然栽培などの無農薬栽培をさらに発展させていきたいです。

次回は
2月27日月曜日 18:30~20:00
豊田市若草町2-6-8 「ほがらか」にて開催します。

次回テーマは「ニンジン」でやりたいです。
皆様ネタの提供をよろしくお願いします。


  


Posted by みどりの里 at 12:11 │イベント

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