2017年02月26日

あぜぬりと2重張り外し



田んぼのあぜぬり作業を2月中に終わらせました。

田んぼのあぜはだんだん低くなっていってしまうので

どこかであぜを作りなおさなくてはならなくなります。

手作業でやったら非常に大変な仕事です。

今はあぜぬり機という素晴らしい機械があるので

あっという間にこの作業が終わらせることができます。

うちだけでなく、無門さんもストレートアライブとものわさんの田んぼも終わらせました。



とものわの今枝さんは自分も覚えたいとあぜぬり機に挑戦です。

すごく簡単です。

バックができるか心配だったけど



あっさりと習得しました。

イノシシなどであぜが破壊される場所もあります。

でもこの機械さえあればすぐ直せます。

障害者さんたちと農福連携して耕作放棄地をまた農地として復活させたいという思いに

ぴったりの機械です。

耕作放棄地をあっさりと田んぼに戻せます。

休みの日もあぜぬりを覚えに出てきたせいか

今枝さんがインフルエンザにかかり



ストレートアライブさんにお願いしたイチゴの2重張りビニール外しが

司令塔を失った状態で開始されました。

障害者さんだけで大丈夫かなと最初は思ったけど



皆声を出してどんどん外していってくれました。



最初からみどりの里で仕事をしてきたメンバーが新しいメンバーに声をかけて

いろいろ指示してくれていました。

あれ?もう今枝さんいらんやん。

と言うくらいの勢いで、部活みたいでした。

今枝さんにとっては大成功の結果でしょう。

無門さんとこも、ストレートアライブさんとこの障害者さんたちは

とにかく成長してます。

それがもう、うれしくてうれしくてたまらないです。

皆が真剣に作業にあたってくれるので

頼もしく感じ

私もまたどんどん前へ進む勇気をいただいてます。

まだまだ進化していけそうです。

これからも頼りにしていますので

よろしくお願いします。




  


Posted by みどりの里 at 13:22 │お米いちご

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2017年02月18日

第4回農福連携実施研修

2月15日水曜日に

4回目の障害者福祉施設職員を対象にした

農福連携を進めるための農業実施研修がみどりの里にて開催されました。

今回は皆さんの要望もあったので

畝たてマルチ張り作業としました。



でもうちはほとんど機械作業でやってしまうのと

今回ちょうどやれる場所がなかったので

耕起したあとの田んぼで小さい畝を作ってみました。

皆が知りたいのは農業の基礎中の基礎なので

くわの使い方とか知りたいとかです。

もしかしたら、耕起まで手作業でやりたいとか言うかもと思って

みつぐわまで用意したけど

そこまでの要望はありませんでした。

あったらしんどいです。

作りたい畝のサイズに水糸を引っ張って足跡をつけて

足跡に沿ってくわで土を上げていけば

畝ができます。

一人、私より上手なスタッフがいて

日ごろ完全手作業でやってるようです。

田んぼ土だったからけっこうゴテゴテの土だったのですが、

まるでサラサラの土を扱うかのようなくわさばきだったので

もう福祉職員というよりは農家っぽかったです。

天場をならして



マルチ張りです。

二人で両端を踏んで

くわで土を寄せていきます。

ピンと張らないときれいな畝になりません。

風に弱くなります。

今はマルチャーという機械でやっちゃう作業ですが、

私がオイスカにいたころは海外研修生たちとさんざんやった作業で、

ちゃんと通ってきた道です。

それがあるから今、

機械がない場合もこうすればいいというのが説明できます。



午後からは苗場や畑に行って、

水やりの仕方や育苗、潅水設備などを説明しました。

前回実施研修でまいたレタスは



ちゃんと出て育ってますよ。

まいた人は感激してましたが、

自分でその後まいたけど発芽させれなかった

と話してくれました。

たぶん保温ができていないのではないかと聞いてみると

そこができていないようでした。

真冬に発芽させるにはどうしても加温しなければまともに出ません。

温度がその種の適温になれば

簡単に発芽して育ちますが、

適温でない時期に発芽させて育てるには

適温の環境を作らねばならず

これがけっこう大変な管理が必要になります。

まだまだこれから種は播きまくれるので

適温を考慮してどんどん播いていきましょう。



そんな実施研修の裏では

着々と農福連携は進んでいて

今やあの生活介護だった障害者さんたちは

イチゴ収穫ができるまでになっています。

皆に見せても初めからできる人にしか映らないので残念ですが、

イチゴ収穫は健常者でも最初は難しいです。

色味具合や、傷つけないように収穫して運ばなくてはなりません。

そんな難しい仕事できないだろうと思ってましたが、

できてます。

1年前はほぼ職員が収穫して

障害者さん1人だけ若干収穫できる程度でした。

残りの人は足場が悪くて誰も畑に入れませんでした。

それが今ではハウス班は皆収穫できてる。

そうやって仕事の能力が高まるにつれて

障害者さんの問題行動も減少していき、

話しかけたときの反応もどんどん良くなってます。

動きもよくなってます。

畑に出るようになって

暑い日も寒い日も雨の日も

世の役に立とうとがんばっているから

室内にこもっていたときの心のストレスが減少していき

負の感情が吐き出されて

安定してきてるのかもしれません。

一緒にいる職員が

障害者さんが仕事ができたことを喜び

障害者さんたちが活躍できる場を作ろうと頑張り続けてくれたおかげですね。



イチゴたちもそんな皆の姿を見て

うれしそうに見えますね。



  


Posted by みどりの里 at 23:36 │イベント

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2017年02月13日

第28回勉強会

1月23日月曜日に第28回勉強会が開催されました。

今回のテーマは「農福連携」でした。

みどりの里に入ってくれてる無門福祉会さんとストレートアライブ(とものわ)さんの

具体的な事例を紹介して

農家も福祉施設も障害者さんをどう活かしていけばいいかという

課題に少しでも役立てばと思いこのテーマを

作付けの始まる前の1月に持ってきました。

今回は各地の福祉施設からのご参加がいただけたので

80名も集まってくれました。

みどりの里との連携ということで

ここでの農産物は全て無肥料無農薬の自然栽培です。

1人目は



ストレートアライブ(とものわ) 今枝稚加良さんです。



A型と呼ばれる軽度な障害者さんと一緒に農作業を進めていて

みどりの里にも入ってくれています。

農業での活躍はもちろんのこと

障害者さんたちの状態も非常に良くなっていきます。

まず体力が付きます。

それによりできなかった仕事ができるようになり

仕事にも前向きに取り組めるようになっていきます。

自信がついてくると私生活でも変化が起き

1人で買い物に行けなかったのに

行けるようになったり、

コミュニケーションが苦手な人も

自信がついて明るくなるので克服していきます。

精神を安定させるために薬を飲む方も

薬の量が減っていき

ゼロにまでなる人もいます。

農業は疲れるので眠れないがなくなるのでしょう。

目に障害がある方も

それでもどうやったらできるのかを考え、

アイデアをどんどん出し

チーム全体の作業の質もスピードも上がっていきました。

目の状態も良くなってます。



作業面では最初は草取りから始まりました。

みどりの里でも試行錯誤の段階です。



年数を重ねるとできる仕事も増えていき



































というわかりやすい写真で紹介してくれました。

農家は彼らが成長することを信じて付き合えるかということと

福祉側はきちんと仕事を終わらせることを意識してやれるかで

互いの事情を考慮することになり

うまく付き合えていくと思います。

2人目は



無門福祉会 中本健太さんです。

無門福祉会さんはB型と呼ばれる重度な障害者さんと農業をやっています。

無門福祉会さんでは自分の圃場を持ってやる班があり

そことみどりの里は作業協力や助け合いの連携をとり

みどりの里へ来る班とは作業委託の連携でやってます。

これは必ずしも固定されているわけではありません。

作業によって班の動きは変わります。

助け合いの事例としては



みどりの里がコンバインで稲刈りをして

無門福祉会さんがトラックで運んだり補佐に入ったりして

互いの田んぼをこの連携でやりきります。



職員のスキルアップ、作業効率のアップ、コストは互いに削減できます。

課題としては今回はまだ障害者さんがあまり入れられなかったことです。

まだ職員が作業を覚える段階です。



皆でビニールハウスの天井張りをやりました。

これはみどりの里はかなり助かります。

人手が絶対必要なのに風などでできない日もあり、

臨機応変に無門さんたちが入ってくれたので予定より早く終われました。



障害者さんも参加できました。



中本さんの誕生日が非常に風が強くてつらい日だったのですが、

障害者さんも含めて皆が昼の時間になっても必死にビニールを引っ張って

なんとか張りきれたというドラマを作ってくれた日でもありました。

ビニール張りの代わりにみどりの里が機械を無門畑へ持っていき

耕起やうねたてをします。

課題は無門さんの畑全てに入りきれなかったことです。

これは天気が悪すぎて準備が遅れてしまったためです。

この経験で、さらに早く準備をしておかねばならないことを学べました。



サツマイモ収穫では雨の合間に皆の力で一気にいもを運び



素晴らしい結果を出せました。

次の日はもう雨だったので

サツマイモを腐らせずに収穫しきれて助かりました。

この作業の前にはストレートアライブさんのツル切り作業もありました。



田んぼのわら集め作業のパターンもあります。

障害者さんの作業が少なくなってきて

どうしようというところでの作業で

重度な方もやれる作業として重宝してます。

みどりの里としても広大な田んぼのわらを集めるのは大変なので

皆の手が非常に助かってます。

こうして、できない人が役割を担える人へと変わっていっています。

3人目は



無門福祉会 藤井史子さん

主にみどりの里班での障害者さんの活躍を話してくださいました。

















主に収穫出荷準備をやっていて

その合間に管理の仕事もやります。

この1年で障害者さんの能力は信じられないほど伸びました。

ようこさんの場合













勝間田さんの場合









山下さんの場合







桐沢さんの場合









職員の皆は作業もこなしながら、

障害者さんー一人一人を見てあげて

障害者さんが仕事をこなせるとすぐほめてあげています。

新しい仕事にも前向きに取り組んでくれるので

とにかく成長が早いです。

野菜も障害者さんもよく見てあげて、ほめて成長させてあげるといいんだな

藤井さんは思ったそうです。

4人目は



無門福祉会 磯部竜太さんです。

ここでは自然栽培パーティーについて話していただきました。

詳細はこちらのホームページを見ていただけるとよくわかると思います。

自然栽培パーティー代表の佐伯さんが全国を走り回って仲間作りに励み

現在全国約50施設の障害者福祉団体が参加して自然栽培を進めています。

昨年11月には環境大臣賞最優秀賞を受賞しています。

参加希望の方は事務局の無門福祉会さんまでお問い合わせください。

と自然栽培パーティーを紹介してくださいました。

今後それぞれの地域が活発に活動し始めると

この全国のネットワークは非常に大きな役割を果たしてくれるでしょうね。

そして5人目は



名城大学の農学部 礒井俊行先生です。



前回のみどりの里のプレゼンからテーマを作っていただけました。



この写真から欠乏症をひもといてくれました。


高橋英一 「根」物語 研成社 1994

この植物体の元素の割合を示した表をよく紹介してくださいます。

この養分のどれかが足りない場合


http://www.takii.co.jp/tsk/bugs/atm/seiri

こういう症状が出ます。

これはタキイ種苗さんがネットで紹介しているので検索してみてください。


https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/kyouzai/200701shikiso/200701shikiso1.html

緑色の葉には、何種類かの色素が含まれていて、光を吸収して光合成のためのエネルギーに変換する役割を持っています。

寒くなったり、古くなった葉は、寿命を終えて落葉しますが、その前に、必要がなくなったクロロフィルが分解されて緑色が抜けます。カロテンやキサントフィルが残るため、葉は黄色になります(黄葉)。種類によっては、落葉の前に、「アントシアン」と呼ばれる赤い色素が合成されて赤くなります(紅葉)。


米山ら 新植物栄養・肥料学 朝倉書店 2010

葉緑素です。
生成にFe、S、Mnが必要


角田公正ら 栽培環境入門 実教出版 1998

移動しやすい要素 [[ N P K Mg その他 ]]
 不足すると下葉(古葉)から伸長部に養分を転流 → 下葉から欠乏症が出る

移動しにくい要素 [[ S Ca Fe Mn B Cu Zn ]]
  不足すると、今伸長している所に欠乏症が出る。下葉から転流しないので、下葉の欠乏症は出にくい。

S, Znは体内移動する元素だが、その中でも比較的移動しにくい


実教出版 化学Ⅱ 新訂版 2012


図1 降雨前後の流量と窒素濃度の経時変化 (2001年8月)

梼原町の約180年生のモミ、ツガからなる天然林の流域(面積18.7ha)
ここでいう窒素とは硝酸態窒素(NO3-N)
http://www.ffpri-skk.affrc.go.jp/sj/sj30p4.htm

雨が降ると窒素がたくさん入ります。


http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~tsuyu/top/dct/nutr-j.html

Ca吸収はKの多用で抑制
Mg吸収はKの多用で抑制
K吸収はCa, Mgの多用で抑制

水田では水があるため、塩基類のバランスの影響は少ないが、
乾燥する畑では、養分吸収を適正にするためにも塩類バランスには注意すべき

肥料をまきすぎると

そのせいで他の養分の欠乏症が出てしまいます。

雨が降って窒素が多いことで葉緑素に必要な微量要素が足りなくなるイメージも

これらの資料からも導き出せそうです。

欠乏症の出る場所で

要素の特定もできます。

これはすでに研究してこういうルールがありますという紹介で

これらのルールを活かすことが大事です。

礒井先生が持ってきてくださる研究結果を

私たちは現場で活かして自然栽培などの無農薬栽培をさらに発展させていきたいです。

次回は
2月27日月曜日 18:30~20:00
豊田市若草町2-6-8 「ほがらか」にて開催します。

次回テーマは「ニンジン」でやりたいです。
皆様ネタの提供をよろしくお願いします。


  


Posted by みどりの里 at 12:11 │イベント

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2017年02月04日

無門ハウスの自然栽培イチゴ



1棟だけの小さめのハウスがみどりの里にありまして

トマトや葉物に使っていたのですが、

自然栽培イチゴハウスへと切り替えました。



「このハウスは無門さんにあげるからイチゴのお世話をしてあげてね。
 採れたイチゴは全部好きにしていいよ」

と言ったら皆のモチベーションがものすごく上がりました。

昨年はそういったハウスがないので

どうしても注文最優先になってしまい、

作業を手伝ってくれてる皆に分けてあげられる分が少なくて

皆も我慢してましたね。

意外とこれは商品なんだとという意識が皆あって

自制が効いているあたりがすごいなと思いました。

でも注文から完全に切り離した新しいハウスがあれば

無門さんの中で展開したいことをやれるハウスとなり

皆自分のやってることの成果を食べたり、

販売したり、また招きたい人を連れてくることで実感できます。



お昼のお弁当のデザートになってます。



これが一番障害者さんにとってわかりやすい成果ですね。

そしてそういった仕事の意味がわかり始めると



無門ハウスで採れたイチゴで

ただ食べるだけでなく、

収穫やパッキングの練習をしていました。

職員さんたちがパッキングは練習している中で

すでに障害者さんの勝間田さんは

自分たちのイチゴでパッキングを習得しようとしてました。

新しい仕事を進んで習得しようとする姿に感動すら覚えます。

今、みどりの里班ではイチゴ収穫とパッキング能力が

昨年の倍以上の作業量をこなせるようになっていて

うちも浩美に頼り切りだったパッキング作業が減って

非常に助かってます。

イチゴだけでなく野菜の仕事もさらに進化していきます。



自然栽培ホウレンソウの大きくなりきれなかったものの

黄色い葉を取り除く作業を太田さんができることが判明しました。

これは規格外品になってしまいますが、

食味はいいので黄色い葉を取り除けば加工にまわせます。

私たちでこの作業はやってられないのですが、

太田さんがやってくれることで

畑で捨てずに野菜が活かされていきます。

もともとできるわけではないんです。

1年みどりの里へ通い続けて

自然栽培の中にどっぷりつかり続けて

体力や能力を徐々に開花させてきた今だから

太田さんができるようになったんです。

「ホウレンソウないのー」

と毎日聞いてくれるようになりました。

最近、皆活躍できる場を狙っている感じになってきました。

できそうな仕事を探し始めています。



彼らが関わるとイチゴの食味が上がる傾向があります。

そりゃ私たちの栽培のドラマだけじゃなく

障害者さんのドラマまで詰まっているイチゴですから

美味しくなるに決まってるよね。

やまのぶ梅坪店で販売してますのでぜひご賞味ください。


明日2月5日(日)に講話予定があります。
10:00~11:30
場所 エトセ工房 (愛知県岡崎市石原町字黒石33)
申し込み先 風舎事務局 0564-83-2881 

自然栽培と農福連携の事例をたくさん話します。

興味があったらぜひご参加ください。

  


Posted by みどりの里 at 09:13 │いちご

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