2016年09月16日

第23回勉強会

8月22日の勉強会内容です。

第23回勉強会

kuumaa!Farm の鈴木直樹さんが

明治大学で紹介された栽培方法が

無肥料でも活かせるのではないかと

聞いてきた内容を紹介してくれました。

第23回勉強会

ミニトマトのソバージュ栽培です。

株間1mでミニトマトを植えて

脇芽を伸ばして育てていく方法です。

キュウリやゴーヤのようにアーチ状にして

中から収穫できるようにします。

脇芽にどんどん実をつけていくので

収量も上がりますし、

露地栽培で作っています。

ネットで調べるとやり方の詳細が出ているそうです。

もう一つは

アスパラガスの採りっきり栽培です。

第23回勉強会

アスパラガスの苗を植えるのを早めて

2年で採りきる栽培方法です。

第23回勉強会

この図のように苗を植えることで

冬でも穴の中は地温のおかげで下がりきらず

育ってくるので普通のやり方より早く成長させることができて

収穫期を早めることができるやり方です。

鈴木さんがやったわけではないので

詳細や自然栽培でやってどうなるかはわからないのですが、

アイディアとして持ってきてくれました。

栽培方法は常に進化していて

少しでも多く、早く、有利に採れるようにと

農家や研究者が追求していきます。

これらも研究途中の話題なのですが、

自然栽培をより有利に進めていくためのいいアイディアにつながるかもしれません。

穴の中は暖かいということを利用して

早く定植して生育期間を延ばすということは

何か別の作物でもできるかもしてないです。

2人目は

第23回勉強会

ちいさな星の吉田こうやさんです。

豊田市で柿、桃、ナシ、イチジクを自然栽培でやっていく予定です。

自己紹介です。

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現在果樹畑を借りて木を引っこ抜いて

苗を植える準備中です。

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果樹は非常に難しい分野でしょうけど

またいろいろ情報交換ができるといいですね。

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3人目は

秀明自然農法の大倉千鶴さんです。

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ナスの半身萎凋病に困っています。

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葉の半分が枯れてきてしまったり、

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ナスの木の半分が枯れてきてしまいます。

知っていることがあったら聞いてみたいとのことで写真を用意してきてくださいました。

礒井先生も病気についての資料も最近用意してきてくれてますので

前回の話しの流れが続いている感じです。

うちだと青枯病のほうが出てくるので

この病気は初めて見ます。

病原菌は温度、湿度、水、有機物、肥料、pH、などなど

その病原菌の好きな環境が整ってしまうと出やすくなってしまいます。

そして、原因は病原菌が出ている現在に限らず、

育苗土、定植期、に原因を作ってしまっている可能性もあるので

原因を特定させるのは難しいです。

有機物マルチが多いと病気にかかりやすくなってしまったことがある

という体験を杉山さんが話してくれました。

この話題は礒井先生のプレゼン時にとっておいて

4人目はみどりの里です。

私も今回病気話題になるとみて

自然栽培やってても出てきた事例と

真夏の苗作りについて用意してきました。

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キュウリの苗です。

8月4日に種をまいて

豊田市はあまりに暑いので

発芽してきてすぐ病気が出ました。

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株元がきゅっと絞られた感じで苗が倒れてしまう

立枯病です。

発芽して徒長させてしまうと出やすいです。

水が多くて、温度が高いと出やすい傾向があります。

最低気温25℃以上が毎日なので

どうしても生育不良になりやすく、立枯病が出てまいます。

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それでも一部の苗に出ただけで済んだので

8月21日にはほとんどの苗が順調に育ってくれました。

生育適温を大きく外している場合は

どんなに頑張っても万全にもっていけないことが多いです。

温度を下げるには遮光ネットなどでうっすらと日影を作ると

最高温度は下がってくれるけど

光が弱まり、

夜の温度は関係なく高いままなので

徒長しやすくなります。

苗を柔らかく作ってしまうと

定植したときに暑さと日差しで枯れやすくなってしまうので

今年は最初から外で作りました。

そしたら、固いがっちり苗を作れたので

遮光ネットなどで気を使うよりも

外で光をしっかり当てた方が良さそうです。

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インゲンはキュウリより暑さに弱いので

8月に豊田市で種をまいても

ほぼ失敗します。

発芽してすぐ枯れるか腐ります。

春にまいてうまくいくやり方も

8月にやったら全くうまくいきません。

でも、みどりの里は長野県の標高900mの涼しい場所を持っています。

そこで発芽させれば

上の写真のように順調に育てていけます。

生育適温が合うか合わないだけで天と地の差が出ます。

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苗が思ったより早く大きくなってしまったので

暑さMAXの8月15日に植えることになってしまいました。

黒マルチがはってあるので影を作らなければ

苗が良くても

半分は確実に暑さで枯れます。

でも秋の収穫時は地温を高く保てるので黒マルチはあったほうがいいんです。

でも8月はいらないです。

なのでマルチの上にこの畑で生えてた草や

前作の残骸を置いて影を作りました。

これで生存率はかなり上がりました。

わざわざ外から草を持ってくるのは大変なので

前作の残骸などを利用するとかなり楽です。

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そして自然栽培田んぼ(左)と慣行栽培(右)です。

ここに葉いもち病が出てしまいました。

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よく見えないけど葉に特有の斑紋が出てきました。

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田んぼは全て自然栽培ですが、ここだけ病気が出てます。

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お隣りさんにも出てます。

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イネ科の雑草にも出てます。

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発生した箇所は水口周辺でした。

穂イモチにまで続いてしまうとやばいので

ここでなんとか止めます。

まずは原因であろう水を止めて水温が下がりすぎるのを止めます。

雨が続いて日照不足になると

雨で葉が濡れてイモチ病が広がりやすい環境になります。

水温が下がりっぱなしで代謝が進まず

稲の体の窒素量が多くなってしまいます。

それらが全てそろうと

さすがに無肥料でも出てしまうようです。

でもここ以外は全く出ていないので

よほど条件が悪かったようです。

そして、曇りでも少しでも窒素の代謝を進めて

原因を小さくするために

病気が出たエリアに酢を散布しておきました。

しばらくして次の葉には病斑は出ていませんでしたので

結果止めることができました。

8月のみどりの里もスリルに満ちた日々でした。

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最後に礒井先生です。

「土壌病害とpH」というテーマでやっていただけました。

第23回勉強会
ウィリアム・ダビン 土壌学入門 古今書院 2009

土壌のpHがなぜ大事かということがすぐわかる表です。

だいたい6.5あたりがどの養分も吸収できます。

酸性にかたよりすぎると植物にとって害になりやすい

アルミニウムが出てきますので

なるべくこいつは少ない領域がいいです。

マンガンもマンガン過剰症があるので少なくていいです。

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山根一郎 土と微生物と肥料のはたらき 
  農文協 1988

植物はそれぞれ適したpHの範囲があり

それが外れると小麦や大麦などは非常に収量が下がります。

これは小麦、大麦にアルミニウムに対する抵抗力がないためです。

1枚目の図のように酸性になるとアルミニウムが出てきてしまうので

トウモロコシやエンバクはpHが下がっても

アルミニウムへの抵抗力を持っているので収量を大幅に下げるには至りません。

でもベストな範囲じゃないとその他の養分のこともあるので

やはり下がってしまいます。

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久馬一剛他 新土壌学 朝倉書店 1984

日本は雨が多いので

土壌は放っておくと酸性に傾きやすいです。

その酸性に耐性をどのくらい持っているかは

作物によって異なります。

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小川奎 土壌病害をどう防ぐか 農文協 1988

これは非常にありがたい資料です。

病原菌が好む環境を示しています。

それぞれ好む環境が異なりますので

病原菌とひとくくりで見てしまうと対策は打てないようです。

それぞれに対しての対策を考えなくては効果的ではないです。

細菌由来の病気と菌由来の病気があり、

細菌はpHを下げると活動が弱まりますが、

菌類はpHを下げても活動は弱まらず

細菌が動けなくなった分

菌が動きやすくなってしまいます。

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小川奎 土壌病害をどう防ぐか 農文協 1988

青枯病の行動パターンです。

これだけ見るともはや殺菌するしか手がないように思われますが

植物の体内の窒素が少なければそう簡単に入っていけないだろうと思います。

土壌には病原菌も含め全ての菌が存在していて

窒素を多く吸わせて作った植物が土壌に入ってくると

それにとりつく病原菌が喜んで動くということに繋がります。

ではなぜ無肥料で育てていても病気にかかることがあるのかと考えると

みどりの里のやられたパターンだと

ナスの苗が予定より早くできてしまって

作業の都合上早く植えることになってしまって

生育適温を下回った状態で植えられたナスは

満足な生育ができず

根を弱らせて痛めてしまい

そこから青枯病菌の侵入を許してしまったという感じです。

寒さで動きがにぶくなってしまったナスは

体に窒素をためてしまっているので

病気も入ってきやすくなっています。

それは徐々に進行していって

目に見えての発病がありますが、

原因は発病する前の植えたころに作ってしまっていることもあるのです。

半身萎凋病もどこかで生育に適さない場面があった可能性があるので

また明らかにしていただけたらと思います。


またこんな症状が出ているなどの写真などを持ってきていただけると

無肥料や自然の理解も深まっていきますので

皆さん情報提供をお願いします。

次回は9月26日第4月曜日 18時半~20時
豊田市若草町2-6-8 「ほがらか」にて開催します。

今回は突然みどりの里に会場が変わってしまって申し訳なかったですが、
次回は「ほがらか」にて開催しますのでお間違えないようお願いします。



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Posted by みどりの里 at 16:24 │コメントをする・見る(0)イベント
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